アレルギー性鼻炎のレーザー治療
辛い鼻づまり、重症のアレルギー性鼻炎に
鼻粘膜へのレーザー照射治療は安全で効果のあるアレルギー性鼻炎(花粉症)の治療法です。
保険診療で受けられ、局所麻酔を行うことにより痛みの心配もありません。妊娠中、授乳中の方も安心して行えます。お子様は体格にもよりますが小学5年生以上の方に行っております。特に鼻づまりについては当院において95%以上の方に確実な効果が出ております。鼻水やくしゃみにも効き目があり、鼻づまりほどてきめんとは言えませんが、内服などの治療と併用することにより多くの患者様に満足頂ける効果が出ております。当院では次のような方にレーザー治療をお奨めしております。
★アレルギー性鼻炎(花粉症)の方で、症状の種類や程度、体質を考慮して選んだ抗アレルギー剤を使用しても十分に症状を抑えきれなかった方。レーザー治療を行うことによりアレルギー症状を軽減でき、抗アレルギー剤の効果が良好となります。
★ アレルギー性鼻炎(花粉症)の方で、2種類の抗アレルギー剤や鼻のスプレーを併用することにより何とか症状を抑えることが出来た方またはそれでも不十分だった方。レーザー治療により症状を抑えやすくなります。
★アレルギー性鼻炎(花粉症)の方で、抗アレルギー剤やスプレーを使用しても鼻づまりだけが十分に改善しなかった方。レーザー治療を行うことにより95%以上の患者様に確実な効果があります。
★通年性のアレルギーや慢性鼻炎のために、一年中鼻がつまりがちの方。レーザー治療によりお薬を使う期間が少なくなり、またお薬を必要としなくなる方も多くいらっしゃいます。
★ 症状が強いにもかかわらず、他の疾患の治療中であるため、妊娠や授乳中のため、また薬による眠気などの副作用が出るなどのために有効な抗アレルギー剤の服用が出来ない方。
当院のアレルギー性鼻炎に対するレーザー治療については、レーザーがアレルギー性鼻炎に応用され始めた約25年前から、当院院長が順天堂大学教育関連病院において取り入れていたものであり、2000例を超える症例数と実績から安心して受けていただける治療法です。花粉症の方においては花粉シーズンは鼻の中が非常に過敏になっておりますので局所麻酔の処置が行いにくい場合があり、レーザー手術は花粉シーズン以外に行う方が良いと思われます。通年性のアレルギー性鼻炎など季節性でない場合はどの季節でも可能です。レーザー手術は日にちの予約をして頂いて行うことになりますが、鼻の構造上の問題でレーザー以外の治療法を選択する方が良い場合もありますので医師の診察の上予約をお取り頂きます。当院ホームページをご覧頂き一度診察をお受けください。治療法の実際などについては文末にレーザー手術をお受けになる方への説明書を載せましたのでご参照ください。
レーザー照射装置本体
レーザー照射管と操作盤
鼻づまりの主な原因は鼻の中の下鼻甲介と言われる粘膜で覆われた膨らみがさらに大きく腫れることです。下鼻甲介は鼻から入ってくる空気の温度や湿度を調節し、フィルターとしての働きも持っている大切な部位です。下鼻甲介の表面には分泌腺が多くあり鼻水の多くもここから出てきます。レーザー照射装置を使用して鼻の入り口から6~7cm奥までの下鼻甲介の表面にレーザー光線を照射することで下鼻甲介のボリュームが小さくなりまた分泌腺が減少するため総鼻道と言われる空気の通り道が広くなって鼻水も減少します。レーザー照射は外来手術であり、確実な効果を出すためには照射前に鼻内に麻酔薬と血管収縮剤薬剤を含ませた長いガーゼを入れておくことで完全な局所麻酔を実現し、鼻内を収縮させることにより手術操作のできるスペースを確保しなければなりません。下鼻甲介の出来るだけ広い部分にレーザーを照射することで下図のように下鼻甲介が収縮して頑固な鼻づまりが改善し、多量の鼻水も減少します。
レーザー照射による下鼻甲介の変化(左が照射前の正面図と側面図、右が照射後になります)
で示した下鼻甲介が照射後には縮小し、総鼻道と言われる空気の通り道が広くなっております。
右鼻腔についてのレーザー照射前、照射直後、照射2週間後の変化
腫れていた下鼻甲介にレーザー照射によってかさぶたが付き、2週後には縮小して総鼻道と言われる空気の通り道が広くなっています。
腫れた下鼻甲介
鼻中隔
腫れた下鼻甲介
鼻中隔
レーザー照射前
レーザー照射直後
縮小した下鼻甲介
鼻中隔
照射2週間後
当院でお渡ししているレーザー治療をお受けになる方への説明文
アレルギー性鼻炎のレーザー治療
アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)や慢性鼻炎の症状が極めて強い場合は、薬による治療効果が不十分である場合や、一時的な効果しか得られないことがあります。頑固な鼻づまりは鼻の中の粘膜が腫れることにより、空気の通り道が狭くなる に起こります。また、鼻の粘膜が腫れているところからは分泌液が多量に出やすくなるため、鼻水が多くなります。鼻の中にある最も腫れる部分を比較的簡単に、しかも安全に治してくれる日帰り手術が、鼻の粘膜へのレーザー照射です。
☆次のような患者様にレーザー治療を行います。
1)十分な診察の上に選択した内服薬や点鼻薬による治療を行っても鼻づまりがとれない方や、鼻水、くしゃみなどが十分にはおさまらない方。または自覚的に鼻づまりがひどくなくても鼻の粘膜の腫れのために鼻呼吸が不十分な方。
2)眠気などアレルギーの薬の副作用がでるため、または基礎疾患があるため十分な内服治療が出来ない方、および抗アレルギー剤を使用すべきでない妊婦や授乳中の方。
3)鼻の粘膜の腫れが著しく、他の治療による効果が期待できない、または他の治療では極端に時間がかかると思われる方。
4)重症の花粉症のため、鼻づまりや鼻水について十分な治療効果が得られなかった方。
☆レーザー治療の有効性、安全性について
1)1か月または2か月に1回レーザー照射を行い、3回行うことにより鼻づまりについては90%以上の患者様に著明な効果があります。但し他の治療が全く必要なくなるとは限りません。人によって効果の出方には差がありますが、1回の照射を行っただけである程度鼻づまりが楽になる場合が多く見られます。効果をより確実なものとし、長持ちさせるために3回の照射をお勧めしております。
2)鼻水、くしゃみについても効果が期待できますが、レーザーを照射できるのは鼻づまりに最も関係する部位に限られており、鼻水やくしゃみはそれ以外の部分からも出てくるために完全になくなることはありません。
3)3回ほどの照射を行って一度十分な効果が出ると2~3年位効果が持続するのが一般的です。しかし徐々に効果が薄れていく場合が多いので1年に1回、追加のレーザー照射をすることをお勧めしております。ごく希に体質により効果が認められない場合もあるようですので、2回照射しても全く効果が無い場合は、他の治療法に変更することになります。
4)花粉症の患者様においても特に鼻づまりに有効であり、鼻水・くしゃみについても薬が効きやすくなりますが、花粉症の季節には内服薬や点鼻薬の使用は必要となります。
5)レーザー照射装置は鼻の中の必要な場所にだけに当たるように工夫されていますので危険が無く、持続する副作用もありません。また他の手術治療や、薬で粘膜を焼く治療と異なり、出血や痛みがほとんどありません。
6)レーザー照射を行う前には、局所麻酔として鼻の中に麻酔液の付いた細長いガーゼを入れる必要があります。従って麻酔剤にアレルギーのある方には照射できませんのでお申し出下さい。
7)小児については、麻酔のときの違和感を我慢できることと照射中動かないでいられるという条件を満たすことから、小学校高学年以上であれば可能な場合が多いようです。
☆レーザー照射を行う際の手順
1)原則として、日にちの予約をしていただきます。学校が休みの時期以外は平日の午前中の予約となります。食事制限や、前もって薬を飲む必要はありません。
2)午前中の早い時間に来院していただき、診察の順番になりましたら通常の治療と同様に鼻の中にスプレーをし、その後5分余りお待ちいただきます。これによって鼻の中が収縮し、また軽く麻酔されます。
3)鼻の中に麻酔のための細長いガーゼを入れて15分から20分待っていただきます。この間に鼻の中は完全に麻酔され、レーザーを照射しても痛みを感じなくなります。
4)ガーゼを抜き、レーザー照射を行います。両側で5~10分で終了します。
5)麻酔が2時間位で切れてくると、鼻の中がヒリヒリする場合もありますが、軽いものでほとんどの場合一晩で消えます。鼻水や鼻づまりが一時的に多くなることもよくありますが、1~2週間で終わります。鼻をかむと、少量の血液やヌルヌルしたものが出てくることがありますが、皮膚で言うとカサブタのようなものであり心配ありません。これらの症状を早く気にならなくするために、妊婦の方を除いて原則として1日2回の薬と3回の薬を2日間だけ服用していただきます。照射後7から10日後に診察をお受け下さい。
☆レーザー治療の費用
当院では保険診療でレーザー治療を行うことが出来ますので、保険外診療や美容目的のレーザー照射と比べると低額です。平成24年4月の診療報酬改定で次のように変更されました。
レーザー照射のみの費用(麻酔も含む)は、一回につき3割負担の方は8,730円、2割負担で5,820円、1割負担で2,910円です。
☆ご質問のある方に
ご心配や、ご質問のある方は、お気軽に医師にお尋ねください。
都筑耳鼻咽喉科クリニック