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舌下免疫療法

 舌下免疫療法は長期にわたりアレルギー性鼻炎の症状を抑える可能性があり、アレルギーの原因に対して反応しにくい体質にするという理論的に優れた治療法です。現在スギ花粉とダニ(ハウスダストの主成分)について保険診療が適応になっております。画期的な治療法ではありますが実際に患者様が治療を続けていくためにはかなりの根気が必要であり、頻度は低いながらも重篤な副作用の可能性もあるため、安易に始めることは出来ません。治療を開始しますと、症状のない時でも毎日シダキュア又はミティキュアという錠剤を舌の下に1分間保持する治療を3年以上継続しなければなりません。服薬の前後2時間の激しい運動や飲酒は強い副作用の誘因になる可能性がありますので避けなければなりません。また少なくとも1か月に1回の受診が必要です。最近のスギ花粉症に対する舌下免疫療法についての研究報告では治療開始後3年目に花粉症の薬を必要としなくなった著効例が15%、薬は必要ではあるものの確実な効果が見られた有効例が60%、全くの無効例は10%のみという結果で、有効以上が75%と大変有効性の高い治療法であることが実証されております。ダニアレルギーの舌下免疫療法についてもこれに近い有効性が期待できます。十分な効果が出た場合でもやがて効果が薄れることもあり、舌下免疫療法を再開する必要が出てくる場合もあるようです。またこれらのお薬はアレルギー原因物質を希釈したものであるため、時にはアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応が出るリスクがあります。加えて喘息発作の起こる方、強いアトピー性皮膚炎や口腔アレルギー、心臓疾患、肺疾患、免疫疾患、高血圧のある方、高齢者の方は副作用が重篤になりやすく、副作用が出た場合の治療が困難であるなどの理由で舌下免疫療法は行えません。お子様については近年5歳以上で舌下免疫療法が認可されたところですが、服薬前後2時間は激しい運動を避けるなどの注意を守らせることが難しく、また重篤なアレルギー反応が出た場合を考慮すると血圧低下や呼吸障害を成人同様にコントロールすることが困難になる可能性がありますので、当院では成人と同様に対処が可能な12歳以上の患者様にこの治療を行っております。

 このように舌下免疫療法は優れた治療法ではありますがすべての患者様に行える治療法ではありません。一方で多くのアレルギー性鼻炎の患者様については、医師がその方の症状の種類や程度に応じた内服薬の組み合わせと点鼻薬を選択し、症状の強い時のための頓服薬と共に処方することで日常生活に支障のない程度にまで改善出来るものです(現在、抗アレルギー剤は様々な特徴を持った十数種類の製剤があり、患者様ごとに最も相応しいお薬を選択可能です)。適当な内服薬、点鼻薬を選択しても効果が不十分であった方や、投薬を止めるとすぐに症状が戻ってしまう患者様などについては、アレルギー性鼻炎のためのレーザー治療という方法があります。レーザー治療は鼻の中の腫れをひかせる効果が優れており、鼻づまりに対する有効性は90%以上です。鼻水、くしゃみ、痒みにもかなりの効果があり、内服薬と併用することでこれらの症状も著しく軽減し、薬の服用を暫く休むことが出来る方も多数おられます。しかし根本的にアレルギー症状の起きにくい体質を維持できる可能性があるのは、やはり舌下免疫療法です。上記の内容をご理解の上ご検討いただき、ご希望の患者様は医師にお伝えください。

​当院にて舌下免疫療法を開始する患者様にお渡ししている説明書

ダニ(ハウスダスト)およびスギ花粉症の舌下免疫療法

ミティキュアという薬を使用する舌下免疫療法は、ハウスダストの主成分であるダニによるアレルギーの症状を長期に渡り改善するための大変優れた治療法であり、2015年から保険適応となりました。又スギ花粉に対するシダキュアという舌下免疫療法もあります。これらの治療を続けるにはかなりの根気が必要であり、副作用が出る可能性もあることから服用の仕方を十分理解し、守って頂く必要があります。治療で十分な効果を得て、それを持続させるためには、ミティキュアやシダキュアという錠剤を舌の下に1分間保持する治療をほぼ毎日、2~3年間継続しなければなりません。また治療期間中は1か月に1回の受診が必要となります。ミティキュアでは治療開始後3か月位で効果が見られることも多いのですが、1年位続けた後に効果が出ることもあるようです。シダキュアの前のモデルであるシダトレンという薬を用いた舌下免疫療法では全国的な治療成績が報告されており、治療開始後3年目に花粉症の薬を必要としなくなった著効例が15%、薬は必要ではあるものの確実な効果が見られた有効例が60%、全くの無効例は10%のみという結果で、有効以上が75%と大変有効性の高い治療法であることが実証されております。ダニアレルギーの舌下免疫療法についてもこれに近い有効性が期待できます。ミティキュアやシダキュアはそれぞれダニ・スギ花粉のエキスを希釈したものであり、これをダニ・スギ花粉アレルギーのある人に少しずつ投与して症状が出にくい状態にするものですから、理論的にはアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が出る可能性があります(その頻度は現在までのところ抗生物質などと同程度のようです)。また治療開始後に重篤な副作用に発展する可能性が見られた場合は、止む無く治療を中止しなければなりません。また喘息発作、アトピー性皮膚炎、口腔アレルギーの強い方や心臓疾患、肺疾患、免疫疾患、高血圧のある方、高齢者の方は副作用が重篤になりやすく、副作用が出た場合の治療が困難であるなどの理由で舌下免疫療法は行えません。またダニ・スギ花粉以外のアレルギーには効果がありませんので、ミティキュア・シダキュアの舌下免疫療法は、血液検査などでダニ・スギ花粉アレルギーが確認できた方が対象となります。しかも上記のような副作用の可能性が少ないと判断される必要があります。
 このように舌下免疫療法はすべての患者様に行える治療法ではありませんが、多くのアレルギー性鼻炎の患者様については、医師がその方の症状の種類や程度に応じた内服薬の組み合わせと点鼻薬を選択し、症状の強い時のための頓服薬と共に処方することで日常生活に支障のない程度まで改善できます(現在当院では抗アレルギー剤については特徴を持った10種類以上の製剤を使い分けており、患者様ごとに最も相応しいお薬を選択しております)。適当な内服薬、点鼻薬を選択しても効果が不十分であった方や、投薬を止めるとすぐに元に戻ってしまう患者様などについては、アレルギー性鼻炎のためのレーザー治療という方法があります。レーザー治療は鼻の中の腫れをひかせる効果が優れており、鼻づまりに対する有効性は90%以上です。鼻水、くしゃみ、痒みにもかなりの効果があり、内服薬と併用することでこれらの症状も著しく軽減し、薬の服用を暫く休むことが出来る方も多数おられます。(別紙説明書あり)。しかし根本的にアレルギー症状の起きにくい体質を維持できる可能性があるのは、やはり舌下免疫療法です。上記の内容をご理解の上ご検討いただき、ご希望の患者様は医師にお伝えください。


                          都筑耳鼻咽喉科クリニック 

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