細菌培養検査
耳鼻咽喉科・頭頚部領域には多種多様な細菌による感染症が起こります。中耳、外耳、鼻、副鼻腔、咽頭、扁桃腺、口腔、顔面皮膚などの炎症が起きている部位から分泌物を採取して細菌検査センターに届け、顕微鏡でどのようなタイプの細菌がいるかを、さらに細菌を増殖させて確認する細菌培養検査を行って、細菌の名前と量を調べてもらいます。また出てきた細菌にどの抗生剤がよく効くか(薬剤感受性)も判ります。これによってそれぞれの部位に病気を起こした原因菌が明らかとなり、最もよく効く抗生物質を選ぶことが出来ます。細菌感染症には各種の抗生剤を使用しますが、数ある抗生剤にはそれぞれ守備範囲があり、どの抗生剤を使っても効くわけではありません。耳鼻咽喉科医はどの部位にはどんな種類の細菌が感染を起こしやすいかという傾向を把握しており、細菌による炎症が起きている場合はその部位によって抗生剤の使い分けをしています。従って痛みや腫れ、熱が出ることの多い頭頚部感染症が疑われる場合は、どこに感染症が起きているかを診断技術により確実に突きとめる必要があります。耳鼻咽喉科医はこのための検査機器を持ち、またその技術を身につけております。抗生剤の使い分けを適切に行うことで多くの場合2~3日で自覚的・他覚的に病状の改善が見られます。しかし医師の予想に反して出現頻度の少ない細菌がその部位についている場合は2~3日でほとんど変化が無いばかりか症状が強くなってしまうこともあります。このような場合、細菌培養検査の結果によりどの抗生剤を使えば最も効果が出るかを判断できます。細菌の含まれる分泌物がある場合は、抗生剤を使用する前に専用の滅菌綿棒を用いてこれを採取しておきますと、後日抗生剤の効果を判断する際に細菌培養検査の結果と照らし合わせてその抗生剤を続行するか変更するべきか、どの程度続けるべきかなどその後の治療に役立ちます。